横浜市、AI相談窓口「友達AI」で子どものSOSを24時間キャッチする実証実験を開始

横浜市、AI相談窓口「友達AI」で子どものSOSを24時間キャッチする実証実験を開始

夏休み中でも子どもの相談を受け止めるAIサービス、横浜市で実証実験スタート

つながりAI株式会社(東京都、代表取締役:駒崎弘樹氏)は2026年7月17日、横浜市の公立中学校・高校の生徒を対象に、AIが子どもの悩みを24時間365日受け止める相談サービス「友達AI」の実証実験を始めた。実施期間は2027年1月15日までで、夏休みという先生や友人との接点が薄れやすい時期に焦点を当て、子どもの孤立やいじめ、虐待、「死にたい」という気持ち(希死念慮)を早期に見つけ出すことを目指す。

なぜ今、AIによる相談窓口なのか

夏休みは学校という日常の支えから離れる期間だ。担任の先生やスクールカウンセラー、養護教諭、友人といった、普段子どもを見守る存在との接点が減り、悩みを抱えた子どもが誰にも相談できないまま孤立してしまう恐れがある。実際、夏休み明け前後は子どもの自殺リスクが高まる時期とされ、9月1日は児童生徒の自殺者数が特に多い日として知られている。

背景には深刻な数字がある。日本全体の自殺者数は長期的に減少傾向にある一方、小中高生に限ると状況は厳しく、2025年の自殺者数は538人と、統計を取り始めた1980年以降で最多を記録した。こうした状況を受け、国や自治体では、子どものSOSをいち早くつかみ支援につなげる仕組みづくりが進められており、1人1台端末などのICTを使った心の健康観察や相談体制の重要性も高まっている。

とはいえ、すべての子どもが大人に直接相談できるわけではない。対面や電話での相談に抵抗を感じたり、誰にも知られずにまず話してみたいと思ったり、夜や休日にこそ苦しさが強まったりする子どもも少なくない。

「友達AI」の仕組み

「友達AI」は、子どもたちがLINEなどを通じて、いつでも気軽に悩みを話せるAI相談サービスだ。友人関係や学校、家庭、進路、体や心の不調、孤独感、いじめ、虐待、性被害など、幅広いテーマについて自由に話すことができる。AIは子どもの言葉を否定せず、急かすこともなく受け止め、必要に応じて相談先や次の一歩となる行動を提案する。

ただし、AIだけで完結させる仕組みではない。深刻な悩みや自傷・自殺のリスクが疑われる相談については、AIによる検知に加えて専門知識を持つ相談員が内容を確認する。必要があれば、人による相談対応や、学校・教育委員会、その他の関係機関との連携を行い、子どもの安全確保と継続的な見守りへとつなげる。AIによる間口の広さと、専門職による安全性を組み合わせたハイブリッド型の支援モデルだ。

今回の横浜市での実証実験では、こうした相談を通じて子どもたちの孤立に関するデータも集め、夏休みから休み明けにかけて、子どもたちがどんな不安や悩みを抱え、どのタイミングでSOSを出しているのかを明らかにする。監修は、教育経済学を専門とする中室牧子・慶應義塾大学総合政策学部教授が務める。

すでに他自治体でも成果

「友達AI」は横浜市が初めての導入先ではない。姫路市の公立中学校や佐賀県立高校ですでに実証実験が行われているほか、市川学園をはじめとする私立学校にも導入が進んでいる。

姫路市での実証実験(約7か月間)では、1,535人の生徒が登録し、寄せられたメッセージは36,654件にのぼった。そのうち81%が夜間や休日に利用されており、従来の相談窓口が開いていない時間帯にも多くのSOSが届いていたことがわかる。

同実証では403人分のリスクが検知され、うち66人からは「死にたい」という気持ちをうかがわせる発言が確認された。このほか、いじめに関するリスクが83人、虐待が61人、不登校が37人分把握されている。これらの結果は、子どもが抱える悩みや危機が、学校の外や夜間・休日の時間帯にこそ表に出やすいことを示している。

監修者のコメント

監修を務める中室牧子・慶應義塾大学総合政策学部教授は、子どもの孤立やSOSは周囲の大人から見えにくい形で進むことがあり、特に長期休み中は学校という日常の接点が薄れるため、困難を抱えた子どもが支援につながりにくくなる可能性があると指摘する。今回の実証実験を通じて、子どもたちがどんなタイミングで、どんな悩みを言葉にするのかを丁寧に把握し、データに基づいた支援のあり方を検討していきたいとしている。

実証実験の概要

  • 名称:横浜市における「友達AI」実証実験
  • 実施期間:2026年7月17日〜2027年1月15日
  • 対象:横浜市内の公立中学校・高校に通う生徒(一部)
  • 内容:AI相談サービス「友達AI」の提供、孤立・いじめ・虐待・希死念慮などのリスク検知、専門相談員による確認と支援連携、子どもの孤立に関するデータの収集・分析
  • 監修:中室牧子(慶應義塾大学総合政策学部教授)
  • 実施主体:つながりAI株式会社
  • 協力:横浜市

※対象校や対象学年、利用方法などの詳細は、今後関係者との調整を経て確定する。

つながりAI株式会社について

「孤立をなくせ」を掲げるつながりAI株式会社は、子どもや子育て家庭、高齢者、地域住民など、さまざまな人が抱える孤立や悩みに対し、AIと専門相談員を組み合わせた相談支援サービスを提供している。24時間365日つながる相談インフラを通じて、困りごとを早期に受け止め、必要な支援へとつなげることを目指している。

  • URL:http://www.tsunagari-ai.com
  • 所在地:東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー15F CIRCLE by ANRI
  • 代表者:代表取締役 駒崎弘樹

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000159082.html