北海道旭川市、買物公園に人流解析AIカメラを試験導入 「まちにち計画」の効果を可視化

北海道旭川市の中心市街地「平和通買物公園」で、人材サービス大手の株式会社ウィルグループが、AIカメラを使って歩行者の動きを分析する実証実験を始めた。市が進める広場化プロジェクト「まちにち計画」の効果を、客観的なデータで検証するのが狙いだ。
「通るだけの道」から「過ごせる場所」へ
平和通買物公園は1972年、日本で初めて恒久的な歩行者天国として誕生し、以来、地域商業や街の文化の中心として親しまれてきた。しかし近年は、暮らし方の変化や郊外型の商業施設の増加により、人々がどれだけこの場所に立ち寄り、滞在するかという「滞在性」の向上が課題となっている。
こうした課題に対応するため、地元の官民連携組織と旭川市は、買物公園を単なる通り道ではなく、人々が憩い、交流し、何かを始められる場所へと変えていく「まちにち計画」を展開している。道路上での物販やパフォーマンスができるエリアの導入や、休憩用の設備の設置などを通じて、市民や事業者が自由に空間を使える環境づくりを進めてきた。
4カ所にAIカメラを設置、個人を特定しない仕組みで計測
今回の実証実験は2026年8月21日から9月30日まで実施される予定で、買物公園内の1条通、3条通、5条通、7条通の4カ所に、それぞれ1台ずつAIカメラを設置する。
このカメラは「エッジAIカメラ」と呼ばれるタイプで、映像をそのままクラウドに送るのではなく、カメラ本体の中でAIが画像を処理し、通行人数やおおよその年代・性別といった統計データだけを取り出す仕組みになっている。映像や画像データそのものは保存されず、個人を特定できる情報も残らないよう設計されているという。
こうした方法で、各エリアの通行量や滞在の傾向を継続的に記録・分析することで、これまで感覚的にしか把握できなかった人の流れの変化を、数値として捉えられるようにする。
なお、この実証実験には、地元の旭川信用金庫と連携して地域活性化に取り組んできた、ウィルグループのDX伴走支援部長で子会社CEspace代表の若泉大輔氏も参加している。
実証期間中には大型イベントも
実証実験の期間中には、2025年度に約93万人が来場した「あさひかわ食べマルシェ」のほか、11年ぶりとなる5連休のシルバーウィークも控えており、通常とは異なる大きな人の流れが生まれることが見込まれている。こうした特別な期間の人流データも合わせて取得することで、より多角的な分析が期待される。
データに基づくまちづくりへ
ウィルグループは今回の取り組みについて、一時的なデータ収集にとどめず、地域が継続的に成長していくための土台づくりを目指すとしている。具体的には、勘や経験だけに頼らずデータに基づいて施策を検討できるようにすること、実施したイベントや取り組みがどれだけ人の滞在に影響したかを数値で評価できるようにすること、そして今回旭川で構築する分析の手法を、全国の他の自治体や商業施設にも広げていくことを掲げている。
旭川市都市振興部都市計画課の担当者は、「まちにち計画」について、買物公園を通り過ぎるだけの場所ではなく、立ち止まったり、何かを始めたりできる日常の場所にしていく試みだと説明。今回のAIカメラによる計測を通じて、空間の変化が実際の人の動きにどう表れるかをデータで捉え、今後の空間づくりに生かしていきたいとの考えを示した。
ウィルグループの若泉氏は、日本初の歩行者天国である買物公園を市民の憩いの場へと進化させる取り組みに、自社のAI技術で参画できることを光栄に思うとコメント。プライバシーに配慮したデータ計測と、これまで培ってきた現場目線での支援を通じて、買物公園の新たな魅力づくりに貢献していきたいとしている。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000430.000034777.html
