ユカリアとSapeet、AIで退院サマリ自動生成の実証実験を実施 – 医療現場の業務効率化に成功

東京の医療DX企業ユカリアと専門家知見活用のAI企業Sapeetが共同で、生成AI技術を活用した退院サマリの自動生成実証実験を行い、約80%の精度で医療従事者と同等レベルの文書作成に成功しました。
実証実験の背景と目的
超高齢社会の日本では、医療サービスへの需要増加と現場の人材不足が深刻な課題となっています。特に医療従事者の長時間労働が社会問題化する中、診療記録や各種書類作成などの事務作業は大きな負担となっています。
退院サマリは患者の入院期間中の診療内容や経過、退院時の状況を網羅的にまとめた重要文書で、他の医療機関やケア施設との情報共有に不可欠ですが、作成業務は医療従事者の負担となっていました。
この課題を解決するため、医療DXを推進するユカリアと、Expert AI事業を展開するSapeetは、AI技術を活用して退院サマリ作成時間を短縮し、医療従事者が患者ケアに専念できる時間を創出することを目指した実証実験を実施しました。
実証実験の概要

実証実験は、ユカリアの提携医療法人である社会医療法人新青会「川口工業総合病院」(埼玉県川口市)で2024年8月から11月にかけて行われました。
実験では、電子カルテデータをAIが収集し、医療ガイドラインに準拠した形で文章を自動生成するプロセスを構築。実務担当者が作成した退院サマリとAIが同じ情報を基に作成したものを比較し、精度向上のためにAIのアルゴリズムを継続的に調整しました。
精度向上にあたっては、生成AIのプロンプト調整だけでなく、データ解析アルゴリズムも独自に開発して検証を重ねました。
主な成果
この実証実験の結果、約80%の精度で医療従事者が作成するものと同等レベルの退院サマリの自動生成に成功しました。病院の実務担当者からも「データ抽出の正確性が高い」「完成度の高い初稿が自動生成される」との評価を得ています。
この技術により、退院サマリ作成にかかる時間は大幅に短縮され、医療従事者が患者とのコミュニケーションなど、人間にしかできない業務に時間を充てられるようになることが期待されています。
ユカリアの医療DX構想

ユカリアは「ヘルスケアの産業化」というビジョンと「変革を通じて医療・介護のあるべき姿を実現する」というミッションを掲げています。目指す「あるべき姿」とは、病院・介護施設の経営安定化、医療・介護従事者のウェルビーイング実現、患者・要介護者へのサービス向上という「三方良し」が達成され、人々の生活の質(QOL)が持続的に改善される状態です。
同社のヘルスケアDX構想は、ITやデジタル技術によりこの「三方良し」の実現を目指すもので、その中心には独自開発を進めているAIエージェントがあります。ヘルスケアに携わる人々や利用者は、このAIエージェントのサポートを受けながら、共通IDを通じてさまざまなサービスをシームレスに利用できるようになります。
ユカリアはすでに「スマートスキャン」「ユカリアタッチ ウィズ」などのサービスを提供していますが、今後も病院経営サポートで蓄積した知見や電子カルテ由来の医療データを活用し、多様なパートナーと連携しながらヘルスケア領域のあらゆる課題に対応するサービス開発を進めていく方針です。
企業情報
株式会社ユカリア
所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング 19階
事業内容:医療経営総合支援事業、シニア関連事業、高度管理医療機器事業
ホームページ:https://eucalia.jp/
株式会社Sapeet
所在地:東京都港区芝5-13-18 いちご三田ビル8階
事業内容:AIソリューションとAIプロダクトの提供
ホームページ:https://sapeet.com/
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000143.000022624.html