東北電力、AI活用した「現場安全管理支援ツール」を全火力発電所で運用開始

作業現場での「繰り返し型労働災害」根絶を目指し、ベテラン作業員の思考をAIで再現
東北電力は2025年2月4日より、全火力発電所において作業現場での労働災害撲滅を目的とした「労災防止AI」の運用を開始しました。このツールは過去の災害事例から作業内容と関連性の高い事例を自動的に提案し、作業者に新たな「気づき」を与えることで事故の未然防止を図ります。
「労災防止AI」は2019年から東北電力の火力部門が中心となって開発を進めてきたもので、AI技術の一つである「自然言語処理」を活用しています。自然言語処理とは、コンピューターが人間の使う言葉の意味を適切に把握する技術で、チャットボットや機械翻訳などに広く使われています。

「ベテラン作業員の思考」を学習したAI
このツールの特長は、実際の現場で関連性が高いと判断された災害事例をAIに学習させることで、ベテラン作業員の思考を再現できる点にあります。さらに、周囲環境と文章の意味合いから人が思いつきにくい潜在的な「気づき」も示唆できるため、同じ種類の労働災害を繰り返す「繰り返し型労働災害」の防止に有効と考えられています。
利用場面としては、作業前の安全確認(TBM-KY)のほか、安全パトロール時や作業依頼時の助言・指導などが想定されています。
全グループへの展開も視野に
現在は東北電力の全火力発電所および構内で働くグループ企業での活用が始まっていますが、今後は原子力発電所や水力発電所など火力発電所以外への社内展開も予定されています。また、将来的には社外販売についても検討される見通しです。
東北電力では引き続きデジタル技術を活用した業務の効率化・高度化に取り組みながら、安全最優先の企業文化の構築に努めていくとしています。
出典:https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1246166_2558.html