博報堂DYグループが新制度「AIメンタリング」を開始、若手社員が経営陣にAI活用を指導

博報堂DYホールディングスが、従来の上下関係を逆転させた画期的な取り組みを開始した。AI活用に長けた若手社員が経営層に直接指導を行う「AIメンタリング」制度の運用を8月4日に発表したのだ。
この制度は、急速に進歩する生成AI技術に対応するため、経営層自らがAI活用の先頭に立つことを目的としている。現場のメディア担当者や営業、マーケターといった非エンジニア職の若手社員をAIメンターとして選出し、経営陣とペアを組んで定期的なトレーニングやサポートを実施する仕組みだ。
世代間AI格差への対応策
同社の調査によると、若手ほどAI活用率が高く、50代以上では約10%程度にとどまっている現状がある。この世代間格差を解消し、全社的なAI活用を促進するには、経営層が率先して行動を示すことが不可欠と判断した。
AIメンターは経営層の関心や業務内容に応じて最新のAI情報を共有し、実際にツールを操作しながら効果的な使い方やプロンプト作成のコツを教える。一方で経営層は自身の豊富な経験や知見を若手に伝える相互補完の関係を築く。
既に成果を実感
テストケースでは参加した経営層のAI利用回数が約3倍に増加し、業務時間の短縮だけでなく、創造性の拡張効果も確認された。若手社員がAIを駆使してクライアント支援の最前線で活躍することへの期待も高まっている。
プログラム終了後は、経営層の感想や演習風景を動画にまとめて社内で共有し、全社的なAI意識改革につなげる予定だ。
同社は2024年4月にAI研究開発組織「Human-Centered AI Institute」を設立し、これまでに延べ8,500名超の社員に生成AI教育を実施してきた。今後は「AIメンタリング」をグループ全社に拡大し、AI実装による企業マーケティング支援の高度化を目指すとしている。
人間中心のAI活用を掲げる同社の新たな挑戦は、従来の組織構造にとらわれない柔軟な学習体制として注目を集めそうだ。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000151.000036543.html