北九州市とTOPPAN、DX推進で連携協定を締結──年間421万時間のノンコア業務削減へ

福岡県北九州市とTOPPAN株式会社が、業務改革とデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関する連携協定を締結した。この取り組みにより、市役所業務の約3割を占めるノンコア業務の効率化を図り、職員が市民サービスに専念できる環境づくりを目指す。
膨大なノンコア業務が明らかに
北九州市が令和3年度に実施した全庁的な業務量調査によると、市役所全体で年間約421万時間もの時間が、専門性を必要としない定型的なノンコア業務に費やされていることが判明した。これは市役所業務全体の31.9%に相当する膨大な時間だ。
全国的な労働力不足が進む中、行政ニーズは多様化・複雑化している。限られた人的リソースで市民サービスの質を維持・向上させるため、北九州市はDX・AI戦略室を中心に、抜本的な業務改革に乗り出した。
4つの柱で業務改革を推進

TOPPANとの連携協定では、以下の4つの領域で具体的な取り組みを開始する。
窓口業務のAI化実証
申請書の画像読み取りや記載内容の審査・判定をAIで自動化する実証実験を行う。ヒューマンエラーの削減と業務時間の短縮を目指すとともに、情報セキュリティ要件などAI活用に必要な条件を整理していく。
業務量の可視化と効果測定
専用ツールを用いて業務実態を詳細に可視化する。同時に、これまで実施してきたDX施策の効果を分析し、今後の施策立案に活かしていく。
他自治体との広域連携研究
DX推進の課題を単独の自治体だけでなく、広域で解決するアプローチを探る。行政事務における広域連携の実現や、複数の自治体で共有可能な情報基盤の構築を目指す。
職員のDX人材育成
TOPPANの専門スタッフによる講演や研修を通じて、市職員のDXスキル向上をサポート。具体的な事例を共有することで、実践的な知識の習得を促進する。
市民サービス向上への転換
今回の連携の最大の狙いは、内部事務の効率化によって生まれた時間を、より価値の高い業務へシフトさせることだ。市民対応や相談業務の充実、政策立案力の強化、職員の専門性向上など、市民サービスの質向上に直結する分野にリソースを集中させる。
北九州市は、職員だからこそ担える付加価値の高い業務に注力することで、「持続可能で市民にやさしい市役所」の実現を目指している。今後も、業務効率化の実績を持つ企業との連携を拡大し、公民連携による行政の未来を創造していく方針だ。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000327.000076777.html
