丸紅、牛の体重をiPhoneで瞬時測定するAIアプリを開発 酪農・畜産業の効率化へ

丸紅、牛の体重をiPhoneで瞬時測定するAIアプリを開発 酪農・畜産業の効率化へ

画像はAI生成です

丸紅株式会社は、iPhone Proのカメラで牛の体重を瞬時に推定できる日本初のiOSアプリ「BeecoProgram 3D Scanner」を株式会社フツパーと共同開発したと発表した。高齢化と人手不足が深刻化する日本の酪農・畜産業界において、危険で困難な牛の体重測定作業を劇的に効率化することを目指す。

スマホが体重計に変わる革新的技術

このアプリは、iPhone Proに搭載されているLiDAR(レーザー測距センサー)を活用し、日本の主要3品種(黒毛和種・交雑種・ホルスタイン種)の牛を横から撮影するだけで体重を推定できる。従来のように約900キロもある牛を体重計に乗せる必要がなく、現場での作業負担を大幅に軽減する。

AI画像認識技術と全国約7,100件の体重データを学習した独自の機械学習モデルにより、平均誤差率4.2%という高精度で、最速0.2秒という驚異的なスピードで体重を算出できる。また、牧場の実情に配慮してネットワーク環境がなくても使用可能だ。

深刻な人手不足を背景とした開発

日本の酪農・畜産業界では、高齢化と人口減少による人手不足が深刻化している。特に牛の健康管理や出荷時期の判断に重要な体重測定は、大型の牛を1頭ずつ体重計に乗せる必要があり、生産者にとって大きな負担となっていた。

このため、測定が十分に行われず、経験や勘に頼った飼養管理が主流となっているのが現状だった。本アプリはこうした課題をテクノロジーで解決し、誰でも簡単かつ正確に牛の成長を管理できる環境の実現を目指している。

データ活用で科学的な飼養管理を支援

測定した体重データは、酪農・畜産業界向けデータベース「BeecoProgram」と連携し、個体情報と紐づけて蓄積・分析される。牛の成長状態をグラフなどで可視化することで、データに基づいた最適な飼養管理や出荷時期の判断をサポートする。

今後、体重データが蓄積されるにつれて、独自のAIモデルの推論精度はさらに向上していく見込みだ。

2025年10月から試験提供開始

丸紅は2025年10月より、酪農・畜産協力関係者向けに試験提供を開始し、実用化を目指す。試験提供期間を通して、開発した技術が現場で本当に役立つサービスとして実装するための検証と追加開発を進める予定だ。

同社は「テクノロジーの力で生産者の負担を軽減し、データ活用による科学的なアプローチを推進することで、持続可能な食のサプライチェーンを構築し、次世代がワクワクする酪農・畜産業界の実現を目指す」としている。

このアプリの開発により、日本の酪農・畜産業界における生産性向上と持続可能な食料供給体制の構築に大きく貢献することが期待される。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000159735.html